実際にあったエピソード珍事件編
探偵業で調査を行っていると、色々な事を経験します。
予測できない事や、感動する事、また命がけで調査を行う事もあります。
特に人の裏側を見ている職業ですから、仕事に対する意識をしっかり持っていないと、気持ちがやられてしまいます。
ここでは私が経験した事や、探偵事務所の調査員が経験したエピソードをまとめています。
何の為に調査をしたのだろう…
依頼者の女性が元交際相手の男性に数百万円を貸しており、なかなかその借金を返してくれない為、逃げられないように同男性の自宅の所在を判明させておきたいという調査です。
調査当日、昼頃に依頼者の女性と元交際相手の男性が都内の喫茶店で接触し、十数分程で別れ、その後同男性の自宅を判明させるため追尾を開始しました。
同男性は1人で昼食をとり、デパートで買い物をし、夜はバーで友人らしき男性と接触し、共に夕食をとっていたが、調査の契約終了時間が迫っており、追加の調査を依頼することが金銭的に厳しいと、依頼者が調査を自ら引き継ぎ同男性の自宅を判明させるとのことで、調査時間終了と共に依頼者に引き継ぎました。
どうやって依頼者本人が調査をやるのかな…、と興味本位で見ていると依頼者の女性が連れてきていた依頼者の友人(女性)が、調査を引き継いで5分も経たない内に飲食店で友人と飲食しながら談笑していた元交際相手の男性に話し掛けてしまい、依頼者の女性も「あ~…、困ったな…」という顔で友人の隣に行き困った顔をしながら話し合いを始めていました。
そこまでを見届けて複雑な気持ちで我々の調査は終了しました。
私としても「えー、マジかよ…。」という感じでした。これまで追尾してきたのは何だったんだ?という気持ちと、それなら最初から依頼しないで一番最初の喫茶店で話し合いをすれば良かったのでは?と何とも複雑な気持ちになりましたね。
やるせない
入社間も無い23才の青年!仕事自体や人間関係に行きずまり、失踪し、両親から調査依頼。
子供の頃に家族でキャンプに毎年夏行っていた八王子奥地を重点にローラー作戦で調査をしていたら、本人の車を発見→車内で練炭自殺。
警察調べでは、死後数時間・・・後1日早く調査を依頼してくれていたら・・・。
尾行中の事故
本人の車(軽自動車)をマークして、追尾。
途中新興住宅街の付近にある某駅ロータリーで女性を乗せました。
二人は居酒屋で2時間を過ごし、かなり酔った様子で退店した後、共に車に乗り!
車はホテル街のある方向に国道を走りましたが、大きな交叉点を右折する為、直進待ちをしていました。
もうすぐ車列が切れる!
同じタイミングで、先方より大型トラックがかなり高速で向かってきました。
車は何を考えたのかホイルスピンをさせながら、アクセル全開で、その大型トラックの直前に突っ込みました。
アメリカ映画のクライマックスシーンを思わせるほど激しく車が宙に舞ったかと思うと、地面に激突し大爆発を起こしました!
本人と女性は死亡しました。飲酒運転は辞めましょう!
探偵ならではの勘違い
対象者が女性の店(スナック)方面に車で向かっていたため、先回りをしてスナックに入るところを映像に撮ろうと、スナック向かいのアパート敷地内から、調査員が一眼レフを構えつつ待っていたところに、対象者が来るよりも先に警察車両数台、警官十数人がきて取り囲まれてしまいました…。
どうやら張り込み場所がベランダ側しかなく、室内にいた人が調査員を武器を所持した不審者と間違え通報した模様…。
警察との協力調査
家出をしてしまった女子高校生を探した調査の話です。
少し時間はかかりましたが、運良く探していた女子高校生の居場所を突き止めました。
依頼者と私は、警察にお願いをして、女子高校生を保護してもらう事にしました。
女子高生の居場所であるマンションに、スーツ姿の警察官が2名駆けつけてくれました。
でも、何故か2名ともスニーカーを履いています。
警察官の指示はすぐ出ました。
「私達は玄関から行きますから、探偵さんはベランダを見ててください。」
私は思いました。
「ここはアパートの2階だぞ!ベランダ見てても意味ないでしょ。」
室内から、物音や叫び声が聞こえました。
警察が部屋に入った様です。
しかも、物音と叫び声はベランダに近づいて来るように聞こえます。
「ヤバイ!」と思った時、女子高校生がベランダに出て来て飛び降りようとしました。
しかし、直ぐに警察官に抑えられました。
警察官の言う通り、本当にベランダから出て来そうでした。
その後、依頼者と私、警察官で話し合いをしました。
もう家出はしないと言ってくれました。
感動の再会
ローラー調査の際にマンガ喫茶でターゲット(男性40代)を発見し、依頼者(50代の兄)が合流するまでの間、半日ほど追尾を行う。
ターゲットは3ヶ月ほど、家族と音信不通だった。仕事に悩み、極限に追い詰められて逃避したのだ。
もはや所持金も少ないようだ。探偵がたった半日の行動を追っただけで、その質素な暮らしぶりがわかった。
夕暮れ時に牛丼屋に入るターゲット。その日初めての、まともな食事だった。
間もなく探偵と合流した兄が、店内で牛丼を食べる弟の様子視認すると、何度も店の前を往復して覗き込む。
気持ちが高ぶっていて、落ち着かないのだ。
さすがに視線を感じて、兄の存在に気づいたターゲットだったが、気まずさからか兄の存在に気づかないフリをする。
時折、視線が合うのだが、弟はすぐに目をそらしてしまうのだ。
ターゲットは、不自然なほど長く牛丼屋に居座ったが、やがて意を決したように立ち上がり退店する。
店の前で待ち構える兄とは、決して目を合わせないようにするターゲット。
だが、そのまま気づかないフリをして立ち去ることはできなかった。
兄が歩み寄り、声をかけると同時に抱き締めたからだ。兄はすでに泣いている。
その抱擁には、絶対に逃がさないという決意も込められているように思えた。
呆然と立ち尽くすターゲット。
目は虚ろで、何もない空間を見つめている。
さらに兄が二言三言話しかけると、ターゲットは涙を流して抱き締め返した。
二人の男が号泣しながら抱き合う姿を眺める探偵。
やがて、兄がターゲットの肩越しに、探偵に手を挙げる。
探偵と目が合うと、OKサインを出した。
調査終了の合図だ。
その顔が、感謝に満ちているのがわかった。
調査が終了したのにも拘わらず、しばらくの間、感動の再会から目を離すことができなかった。
絞め殺されかけた
ある農家で盗聴器・盗撮器の発見調査の依頼を受ける。
依頼者は40代後半の農家の主で、依頼者の両親や子供たちが同席しての調査。
依頼者は極度の心配性で、あることがきっかけで人間不信に陥っていた。
依頼者曰く、近隣住民の間では依頼者や家族に関する悪い噂が流され、自宅に盗聴器が仕掛けられているという。
依頼者の家族は、そのような様子は無く依頼者の思い違い、思い込みなどと思うが、かなり依頼者が心配している為、念の為調査をして、何も無ければ安心出来るというものであった。
調査を終えたところ依頼者の姿が見えない。
依頼者がいないまま、調査の結果について家族と話をしていたら、突然、ものすごい剣幕で依頼者が部屋の中に入ってきて絶叫する。
「おまえは偽物だ!偽物の探偵だ!おまえは何者だ!」
そう叫ぶと同時に、依頼者に首を絞められる。
一体、何が起きたのか理解が出来ない。
「おまえが、本当に俺が頼んだ探偵か怪しいから、探偵会社に連絡したら、電話に出た女の人に、須藤なんて人物はいないと言われたぞ!おまえは一体誰なんだ!」
その言葉でやっと理解できた。
当方は、探偵と言う職務上、危険が伴う事が多い為、ビジネスネームを名乗っており、それについては会社側でも把握されているのだが、その時電話に応対した女性が新人であった為、当方が
ビジネスネームを名乗っている事は知らず、「須藤さんと言う探偵はいますか?」という問い合わせに対して「そのような人物はいません。」と答えていたのだ…。
薄れゆく意識の中、「手をはなして」と言うが、興奮状態の依頼者には全く聞こえていない様子で、更に力強く首を絞められる。と同時に、自分の体が中に浮くのが分かる。
“死ぬ…。”
家族も皆「お父さんが話していたことは本当だったんだね!」、「嫌がらせを受けたり、盗聴されたりしていたのは本当だったのか!この人もその一味なんだな!」
などと話しており、依頼者の話している事を鵜呑みにして信じ込んでしまう。
そして家族の誰一人として助けようとはせず、皆、傍観者…。
このままでは本当に絞殺されてしまう。
殺すつもりで力を込めている依頼者に対し、当方は絶対に生きてやるという力を込め、渾身の力で振り解く。
事情を説明し、やっとのことで納得してもらい、解決したが、この件では、人間が死に物狂いで立ち向かってくる時の殺人的パワー、農業で鍛え上げられた者の腕力の凄さ、人々の心の移ろいやすさを思い知った出来事だった!?
本当に奇跡です。
号室を判明させる為マンション内に対象者の男女と共に入り、マンション管理人に捕まり警察を呼ばれました。
来た警官が前日の違う現場で職務質問受けた警官だった為、気をきかせてくれて、ウソをついてもらい、うまく話をまとめてマンションから、無事でることが出来ました。
不法侵入で逮捕されてもおかしくない状況で、同じ警察官が来るのは、本当に奇跡です。
ご近所さんだった…
私の自宅の近所に調査を実施した対象者の自宅があり、調査的には不倫の証拠を取り、私としては満足のいく結果を残して調査が終了したのですが、数ヶ月後に対象者の自宅が空き家になっているのを見た時、非常に複雑な気持ちになってしまいました。
未だに、対象者の自宅前を頻繁に通るので、そのたびに複雑な気持ちになっています。
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